マイクロスコープの歯科治療を知りたい人必見! 歯医者選びのポイント

ここ数年、歯科用マイクロスコープを導入した治療が注目を集めています。肉眼では見えない部分を見ることができるマイクロスコープは、繊細で精密な歯科治療をより高度で確実なものにしてくれるのです。けれども、「マイクロスコープを使った治療をしたいけれど、どんな内容なの?」「費用はいくらかかるの?」など、疑問は尽きませんよね。また、マイクロスコープを導入している歯医者をどうやって選べばいいのか迷っている人もいるでしょう。

そこで、ここでは歯科用マイクロスコープの基礎知識や、どのような治療が可能か、従来の歯医者とはどう違うのかなどの情報をご紹介します。

  1. 歯科用マイクロスコープについて
  2. 歯科用マイクロスコープのメリットについて
  3. 歯科用マイクロスコープによる治療について
  4. マイクロスコープや歯科に関するよくある質問

この記事を読むことで、歯科用マイクロスコープの治療に関する疑問などがおわかりいただけるでしょう。歯科治療でお悩みの人は、ぜひ参考にしてください。

1.歯科用マイクロスコープについて

最近、高度な治療を可能にすることで注目を集めているのが「歯科用マイクロスコープ」です。何となく名前は聞いたことはあるけれども、具体的にはどのような機器でいつ使うのかはよくわからないという人も多いでしょう。そこで、ここでは歯科用マイクロスコープの基礎知識をご紹介します。

1-1.歯科用マイクロスコープとはどのようなものか

マイクロスコープとは「手術用顕微鏡」のことです。もともとは耳鼻咽喉科や眼科が用いていました。1950年から脳神経外科、1960年代から産婦人科、1970年からは心臓外科手術でも用いるようになったのです。そして、1990年後半には歯医者でも歯科用マイクロスコープを用いるようになりました。歯科用マイクロスコープは、肉眼で見るのが不可能な部分も最大約24倍に拡大できます。そのため、繊細かつ慎重さが求められる歯科治療はより高度なレベルへと進めるようになったのです。

1-2.歯科用マイクロスコープを使う治療

歯科用マイクロスコープは、主に以下のような治療に使います。

  • 歯を削る虫歯治療
  • 抜髄(ばつずい):歯の神経を取る治療
  • 感染根管(こんかん)治療:炎症や感染を起こした歯根(しこん)の治療
  • 補綴(ほてつ)治療:歯の詰め物やかぶせ物の治療
  • 歯周病治療
  • インプラント治療

治療法は後の項でご説明しましょう。

1-3.歯科用マイクロスコープの普及率と最近の傾向

日本において、歯科治療にマイクロスコープを用いるようになったのは、1990年代の後半で現在(平成28年)10数年の年月がたっています。しかしながら、マイクロスコープを歯科治療で有効活用するには、セミナーや講習会を受け訓練を積む時間がかかるため、普及率はまだ2~3%ほどいわれているのです。また、機器自体が高額であることも簡単に導入できない理由として挙げられます。

けれども、最近では「M.I.(ミニマルインターベーション)治療」が主流になりつつあるのです。Minimai Interventionの略で、2001年に国際歯科連盟が提唱した治療方法となります。「できるだけ歯を削らず、神経を抜かず、自分の歯を残し寿命を長くする」ことがコンセプトです。M.I.治療を行うためには歯科用マイクロスコープは必需品のため、導入を検討する歯医者は増加傾向にあります。

歯科用のマイクロスコープとは、手術用の顕微鏡のことなんですね。
はい。用いることで、より繊細な治療が可能です。

2.歯科用マイクロスコープのメリットについて

歯科用マイクロスコープにはさまざまなメリットがあります。メリット・デメリット、従来の治療法との違いなども含めご説明しましょう。

2-1.どのような治療法があるのか

「1-2.歯科用マイクロスコープを使う治療とは」で取り上げた治療は、今までは歯科医師の経験と勘によって行われていた部分もあります。しかしながら、肉眼の約24倍に拡大した視野を持つマイクロスコープを使用することで以下の治療が可能になりました。

2-1-1.虫歯治療

マイクロスコープで患部を拡大すると、虫歯でダメージを受けている部分と健康で削る必要のない部分が正確に認識できます。そのために、肉眼の治療時で使用する器具よりも小さな器具を使えるようになりました。削る部分を最小限に抑えることができ、治療工程に無駄がなく時間短縮にもなるのです。さらに、虫歯のある部分には「ひび割れ」が生じていることが多いのですが肉眼では発見できません。マイクロスコープなら細かいひびも見つけられるのです。虫歯治療と同時にひび割れ処理ができるために再発も防げます。

2-1-2.根管(こんかん)治療

抜髄(ばつずい※)や感染根管(こんかん)治療(※)などの「根管治療」では、マイクロスコープが大活躍します。根管とは、歯の神経などが入っている管のことで肉眼で直接見ることはできません。マイクロスコープを用いることで歯根の先端まで見ることができるのです。さらに、根管内に細菌が侵入しないようにラバーダムというゴムシートをかけ、だ液をブロックしながら治療するので再発リスクを減らすことが可能になりました。

※抜髄:虫歯が悪化して歯の神経が死んでいるときに根管内の神経などを取りのぞき洗浄・消毒後に薬を詰める治療

※感染根管治療:根管の奥で炎症が起きたり、以前受けた治療が不十分で炎症が再発したりしたときに薬を除去し再び治療を行うこと

2-1-3.補綴(ほてつ)治療

自分の歯と人工歯の間にすき間があると、そこから細菌が侵入して虫歯が再発します。そうなると、今の詰め物やかぶせ物は使用できなくなってしまうのです。肉眼ではきれいに見える詰め物やかぶせ物のつなぎ目も、マイクロスコープで見るとピタッと合っておらずガタついていることも少なくありません。マイクロスコープを用いることで、精度の高いなめらかなつなぎ目を作れます。そして、細菌が侵入しにくくなり虫歯の再発も予防できるのです。

2-1-4.歯周病治療

歯周病とは、歯を支える骨が歯周病菌でダメージを受け、歯がぐらついたり歯茎が腫れたりする病気です。歯周病の感染源である歯石を除去するときにマイクロスコープを用いることで細かい部分までチェックできます。また、歯周病で溶けた歯を再生する手術のときにも、歯石や汚れを歯の周辺に取り残さないようマイクロスコープを用いれば精密な治療が行えるのです。

2-1-5.インプラント治療

歯科用CTとマイクロスコープを用いることで、従来よりもより安全で確実なインプラント治療が可能になります。傷口が小さく痛みやダメージが少ない治療ができるので、患者さんの負担も少なくて済むのです。

2-2.歯科用マイクロスコープのメリット

マイクロスコープを用いた治療のメリットをまとめると以下のようなことになります。

  • 今までは肉眼で見ることができなかった患部をマイクロスコープで拡大して見ることができるので治療の成功率が格段にアップ
  • 歯医者が歯の隅々までチェックできるので、痛みや腫れ、違和感などの原因を究明しやすい
  • 余分に歯を削ることがないので歯の寿命が延びる
  • 精度の高い神経治療が可能になり歯を抜かずに残すことが可能
  • 切開や縫合などの外科処置が最小限範囲で済むので術後の痛みや腫れを軽減
  • 治療の写真や動画を記録できるので患者さんが自分の状態を確認できる
  • 治療前の検査や診断がより正確になる

2-3.今までの治療法との違い

従来の歯科治療は肉眼や拡大鏡などによって行われていました。根管など直接見ることができない部分もあり、歯科医の腕や経験頼みの治療も多かったのです。歯科用マイクロスコープを導入することにより、肉眼で見ることができなかった部分を確認しながら治療できるので格段に精度はアップしました。さらに、外科処置による術後の痛みや腫れなども軽減されるので「歯医者は痛いから苦手」という人でも治療に通いやすくなったのです。

また、従来は「歯が痛い」「かぶせ物が取れた」などのトラブルが生じたときに、その都度対症療法をするのが一般的でした。歯科用マイクロスコープを導入している歯医者では、初診のときに口くう内全体を詳しく診察をします。トラブルのある部位だけを治療するのではなく、口くう内全体のバランスを見ながら患者さんの状態に合った治療計画を立てるのです。今までは限界があった予防・早期発見もできるようになりました。

2-4.歯科用マイクロスコープのデメリット

歯科用マイクロスコープは、歯医者にとっても患者にとってもメリットが多いものです。ただし、デメリットとしては以下のようなことがあります。

  • 歯科用マイクロスコープの普及率がまだ低いので導入している歯医者を探す必要がある
  • 保険適用がないので自費診療になり治療費がかかる
  • 歯科用マイクロスコープを導入している歯医者によって料金形態が異なる
  • 初診のときに、マイクロスコープによる検査・診断をして口くう内全体を考えて治療するので一般的な歯医者よりも時間がかかる
歯科用のマイクロスコープを用いれば、より高度な治療ができるんですね。
はい。特に根管治療などはマイクロスコープを使うメリットが大きいでしょう。

3.歯科用マイクロスコープによる治療について

実際に歯科用マイクロスコープによる治療を受けるにあたり、どのように治療が進むのか、どれくらい料金がかかるのかなどが気になるところです。そこで、治療の流れや料金、歯医者の選びのポイントなどの情報をご紹介しましょう。

3-1.主な流れ

歯科用マイクロスコープ治療の流れは歯医者や患者さんの状態によっても詳細は異なります一例をご紹介しましょう。

  1. 初診:1時間かかります。マイクロスコープによる検査・診断、写真・レントゲン検査(必要に応じてCT検査)などを行うのです。その結果により、必要な治療内容や大まかな治療回数・期間・費用を患者さんに伝えます。
  2. 精密検査:1本だけの治療ではなく、複数本の歯の治療が必要な場合は、応急処置終了後に精密検査をします。患者さんの口くう内全体を把握するために行うのです。
  3. 治療計画の提示:歯や歯茎の将来も視野に入れ患者さんに合った治療計画を立てて提案します。
  4. 治療開始:歯や歯茎に炎症がある場合は、一番先に炎症治療を行います。その後、仮歯を製作し問題を改善しながら最終的にセラミックスなどの修復物に置き換えます。
  5. 治療終了:治療が終了したら、その状態を維持するため定期的にメンテナンスを行います。かみ合わせや歯周病のチェックを行いながら歯石の除去などのクリーニングを行うのです。

3-2.費用と治療期間について

歯科用マイクロスコープを用いた治療は、保険適応外なので自費診療となります。治療費や治療期間が気になるところですが、歯医者や患者さんの状態によって異なるのです。マイクロスコープ検査や精密検査の結果により詳細がわかります。医師から説明があるときに気になることは直接聞いてみましょう。

吉松歯科医院の治療費用例を一部ご紹介します。(すべて税別)

  • 初診料:20,000円
  • 精密検査の費用:70,000円
  • マイクロスコープとラバーダムを用いた虫歯の除去と神経保護の処置:100,000円
  • インプラントオペ(1次オペ+2次オペ)1本あたり:300,000円より(上にかぶせるオールセラミックスクラウン代が別途必要)

ほか、詳しい治療費用はこちらをご覧ください。

3-3.歯科用マイクロスコープを導入している歯科を探すには

歯科用マイクロスコープを導入している歯科を探すには、インターネットで「マイクロスコープ 歯科」などのキーワードで検索してください。また、通う場所に希望がある場合は地域名も入れて検索するといいでしょう。もし、パソコンをお持ちでない場合はタウンページ(スマートフォン版もあり)で探すことができます。

3-4.歯医者選びのポイント

ちまたに数ある歯医者はどのようなことをポイントに選べばいいのでしょうか。最近は新しい歯医者が急増中です。「コンビニエンスストアの数よりも多い」といわれているほど選択肢が豊富なので選ぶのにお困りの人も多いでしょう。

また、歯医者選びのポイントは人によっても異なります。費用・技術力・設備・治療時間・予約の取りやすさ・歯科医師の人柄など、重視する部分が違うのです。「さし歯が取れたので大至急治してほしい」場合は、家や職場の近くですぐ治療してくれる歯医者さんが便利でしょう。しかしながら以下のようなケースもあります。

  • 数年前に神経の治療済みだった歯が再び痛む
  • 虫歯が複数本ある
  • かぶせ物や詰め物が取れたまま放置している歯が複数ある

などの場合は、問題のある場所をすべて計画的に治療してくれる歯医者さんが必要になります。自分がどういう治療を求め何を重視したいのか決めてから探したほうがいいでしょう。

3-5.歯医者選びの注意点

最近は歯医者の数が増えている分、残念ながら腕の良くない歯医者も増えています。「3-4.歯医者選びのポイント」でご紹介したように、自分がどのような治療を求めるか優先順位を決めておくことが大切ですが、以下のこともチェックして選んでください。

  • 予約や問い合わせをしたときのスタッフの対応がいい
  • 歯科医師がホームページやブログなどで治療方針などをていねいに説明している
  • 治療計画など患者にきちんとインフォームドコンセントを行う
  • ホームページで治療費用の例を挙げている
  • ホームページで歯科用マイクロスコープなどの治療に用いている機器や設備、衛生管理などの説明がある
  • 初診から治療までの「治療の流れ」が明確
  • 完全予約制で、1回の治療に十分な時間を取る
マイクロスコープを用いた治療は健康保険が適用にならないケースもあるんですね。
はい。だからこそ、歯科医の説明を聞いて納得してから治療を受けることが大切です。

4.歯科用マイクロスコープに関するよくある質問

歯科用マイクロスコープ治療や、それを行う歯医者に関連する「よくある質問」をご紹介しましょう。

Q.数年前に根管治療をした歯がズキズキと痛むようになりました。治療を受けた歯医者は閉院したので新しい歯医者を探してます。どのように選べばいいのでしょうか。
A.根管治療は、細菌が根管に入り込まないように完璧にガードして治療し清掃・洗浄することが大切です。少しでも細菌が残ったり、だ液から細菌が入り込んだりすると数年後に歯の根が化膿(かのう)してしまいます。マイクロスコープで患部を拡大してラバーダムでだ液が治療中の根管に入らないようにガードをしながら治療を行う歯医者を選んでください。高度な根管治療を受けるには、器具や設備が充実しキャリアのある歯医者を選ぶことが大切なのです。

Q.部分入れ歯を使用中ですが、装着感が嫌なのでインプラントに変えたいと思っています。インプラント治療ができる歯医者を選ぶときには何を基準に選べばいいですか?
A.インプラントは外科的な手術を行います。そのために、安全で精密な手術を行える、技術力の高い歯医者を選ぶことが大切です。また、より確かな手術を行うために歯科用CTやマイクロスコープを用いているかどうかも調べてください。さらに、患者さんにインフォームドコンセントをきちんと行っているかどうかも確認しましょう。

Q.歯医者で治療が終了した後も、時々通う必要があると聞いたのですがなぜですか?
A.治療が終了したばかりのベストな状態をキープするためには、定期的なメンテナンスが必要になります。たとえば、歯磨きだけでは取りきれない歯石は時々クリーニングをして取りのぞく必要があるのです。また、定期的に検診をすることで虫歯になりそうな部分を早期発見すれば、悪化して痛い思いをすることもありません。

Q.歯科用マイクロスコープを用いて定期検診を受けるメリットは何でしょうか?
A.高倍率の歯科用マイクロスコープを用いることで、肉眼では見落とすこともある小さな虫歯・詰め物の欠損・ひび・歯茎の状態・過去の治療チェックなどが行えます。定期検診で、早期発見・早期治療ができ大きなトラブルに発展するのを未然に防ぐことができるのです。

Q.マイクロスコープによる治療が自由診療になるのはなぜでしょうか?
A.自由診療とは、健康保険などを適用できない診療のことを指します。自由診療はお金がかかりますが最新の素材や技術を用いた治療を受けることができるのです。歯科用マイクロスコープによる治療は自由診療扱いになります。保険診療の場合は、診療時間や使用する素材、治療費用の範囲が決められているので治療内容に限界があるのです。歯や歯茎の将来も見据えた治療を受けるのであれば、自由診療の歯医者がおすすめになります。

まとめ

歯科用マイクロスコープや治療について基本的なことがおわかりいただけたかと思います。マイクロスコープは、肉眼では見ることができない部分を拡大して見ることができるので治療の精度が格段に上がることもご理解いただけたでしょう。

マイクロスコープを取り入れている歯医者はまだ少ないので、自分が通いやすい場所で見つけられるとは限りません。ただし、多少通うのが面倒でも1回の治療時間をたっぷり取る歯医者なら通院の回数を減らすことができます。「できるだけ自分の歯を守りたい」「対症療法ではなく計画的に歯全体を治したい」と望む人にマイクロスコープ治療は向いているのです。また、再発や悪化することが多い歯神経のトラブルをきちんと治したい人にもぴったりでしょう。高度な技術力はあなたの「歯」の寿命を延ばします。ぜひ、自分に合った歯医者選びをしてくださいね。

マイクロスコープを用いた精度の高い根管治療を提供